2011年の対話 ARCHIVES

TOKYO PHOTO 2011に向けて - 6



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河西さん

おはようございます!

TOKYO PHOTOの開幕もいよいよ3日後に迫りました。
作品整備、キャプション製作、作家データの整備、
オーディエンスへの情報発信、
今更ながらやるべきことの多さに呆れています。

漫然とではなく、
ゴールを明確に射程距離に入れた仕事とは、
その後に起こるべき事態を予想することから始まります。
となると、作業の質も量も、いやでも大きく変化してしまいます。

ただ、アクセルを踏み込むことで一挙に事態が進展することも事実!
とにかく今できることは全てやってみます。

英語で“本質を理解する”という際に使われる動詞は“Analyze”、
つまり統計的にモノゴトを捉えて、包括的に判断する力を指します。

今回の私たちの試みも
黙ってじっと本質を見極める“サイレント・マイノリティー” (Silent Minority・塩野七生さんの表現)
彼らに言葉を発するきっかけを与えるまでの“モノゴト”になるか否かが評価の分岐点になるのでしょう。

作品から発せられるメッセージが持続的にアーディエンスの感情を揺さぶり、
ある思考を誘発する飽和点に至るには、
密度と精度を積み上げるしかないのだと私は思っています。

貴女の準備、そして私たちの準備がしっかり調和し
アーディエンスの前で私たちの仕事の質が“力”を放つよう、
正しい仕事を積み重ねるのみです。

宜しくお願いします。

太田菜穂子



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TOKYO PHOTO 2011に向けて - 5



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太田さん 岡山さん


こちらこそ、先日はどうもありがとうございました。
おかげさまでTOKYO PHOTOで発表する"Call sign"のプリントを仕上げることができました。

“美しさに限界はなく、デザインに飽和点はない”
何もないまっさらなところから新しいものをつくり
どこまでも可能性を広げていくことができる
という伸びしろの多い言葉のように感じました。

“Call sign”は、放送局や無線局の呼び出し符号のことです。
電話でいう「もしもし」がそれにあたります。
メッセージの受信、それをどう読むか、を楽しめるような会場づくりをしたいです。
太田さんのプラン、お待ちしております。

私は合気道をしています。
合気道もそうですが、能や俳句、石庭など、日本の表現は型から入っていきます。
私の演出法もそうです。
つまり、感情は身体のかたちにあらわれるということです。
型というのは、動作を小さくしていくこと、そぎ落とすことによって象徴を生む行為です。
その象徴は、あらゆる解釈を生みます。
言葉ではなく、姿勢、行いによって伝える行為です。
かたちというものは、私にとって大きなテーマです。

次は、額装ですね!
岡山さん、今回のTOKYO PHOTOの詳細を教えてください。
また設計図を見せていただくことは可能ですか?
よろしくお願いします。


河西春奈



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TOKYO PHOTO 2011に向けて - 4



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河西さん

先日は長時間ありがとうございました。
確かにアートフェアというシーンについての
アーティストの立ち位置をどのように考えるかは
非常に難しいテーマであると思います。

ただ、これからの時代は
展覧会場やワークショップ会場のみならず、
アートフェアのようなシーンにおいても
アーティストのメッセージやコンセプトが表現されるアート空間が構築されているか否かが
評価の分岐点となるように予感しています。

既存の価値観や理念、美の有り様に準じることなく
新しい“何か”を語りかけるPresence(存在)として、
周囲に認知されるアート空間を来場者に体験させること、
それを一つのゴールにすべきと考えています。

“美しさに限界はなく、デザインに飽和点はない”
これはフェラガモの言葉です。

Haruna KAWANISHIが求めてやまない新たな美しさ、
まずは私の理解で整理し、構成してみますので、
そのプランをご検討いただけますか?

私自身、時代が求める使命を果たせるギャラリーとして
今後、評価されるか否かは全く分かりません。

ただ、クリエイターはギャラリストやキュレーターより
一歩先から常を周囲にインスパイヤーを与えるPresence(存在)として
あることが大切なのだと考えます。

作品整備から最終的な段取りまで、
出来る限りの準備をして当日に臨むようにします。

それでは

太田菜穂子



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TOKYO PHOTO 2011に向けて - 3



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河西さん


こんにちは。

こちらこそよろしくお願いします。
3年目のTOKYO PHOTO、苦難の多いこんな年だからこそ、
大きな実りと発展の見える成果が残せるよう、準備を進めていきたいと思います。

NYの展覧会で、河西さん自身がオーディエンスと直接会う機会を作れなかったこと、
作品シリーズを部分的にしか見せることができなかったことから、
オーディエンスと作品世界を繋ぐ装置として作ったアーティストボックス。

あのアーティストボックスが素敵だったのは、
コンパクトに数を見せるための縮小版ポートフォリオとは違って、
call signという作品の“立ち位置”や“存在理由”を指し示してくれていたことです。

TOKYO PHOTOでの展示自体が
そういう予感の溢れる装置になればいいなとイメージしています。

1年目、2年目、TOKYO PHOTOへの出展だけでなく、
GALLERY 21は日頃のギャラリー運営においても
ひたすらにオーディエンスの方々とのコミュニケーションを大切にしてきました。

写真は目に入った瞬間に、観る人が自分にとって関係のある写真か、そうでないか、
そういった類の個人的な判断をさせてしまうような一瞬の勝負があるようにも思います。
しかし、オーディエンスが心に留った作品を手に入れようというところまでいくには
その直感や予感を、少しでも実感へと押し上げてあげるようなことが必要なように思います。

写真を前に、オーディエンスの方々と横に並んで写真について一緒に話をすること。
そんな豊かな言葉が生まれてくる会場構成を考えたいものですね。

会場の図面も届いたところですので
具体的にプランを描きながら
意見交換をしていきましょう。

よろしくお願いします。


岡山修平



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TOKYO PHOTO 2011に向けて - 2



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太田さん 岡山さん


TOKYO PHOTOにGALLERY 21のPromising artist of 2011としての参加、
改めて、よろしくお願いします。
Dialogueを活用しながら、リアルとオンラインを交えながら
TOKYO PHOTOの展示の準備を進めていきたいです。
そうすることで私たちや読み手との距離を縮めていきたい、と考えています。


6月に太田さんにご提案いただいて、アーティストボックスを作成いたしました。
先日まで行っていたヨーロッパのアーティストインレジデンスとワークショップの都合で
New YorkのSLEでの展覧会オープニング*に行くことが叶いませんでした。
NYの会場では、"Call sign"はフルセットの16点ではなく、8点が展示されています。
SLEのキュレーターであるCorinne TapiaやSLEのスタッフ、
来てくださった方が"Call sign"というシリーズの流れに乗りやすくすることを目的に制作することにしました。


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アーティストボックスは2つ制作し、ひとつはNew YorkのSLEに送付し
もうひとつはノルウェイのサンホルドラン美術館でのワークショップやフランスの展示に持っていきました。


アーティストボックスを作成することで
宇宙飛行士が地球を俯瞰するような感覚で"Call sign"という作品を眺めることができました。
展示は太田さんがおっしゃるように"写真体験"だと思うのですが
アーティストボックスは、箱庭に近いのかもしれません。
物語をひとつの箱に押し込めるのです。


ひとりひとりが自分の手でめくって見る分
子供の頃の大切な絵本を読むようで
展覧会より、ぐっと距離感が近い見せかたになりました。




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TOKYO PHOTOでのプレゼンテーションは
アートフェアですので、空間上、ギャラリーとは違います。
アーティストボックスを作成することで
TOKYO PHOTOの会場構成のヒントをもらえた気がしています。
限られた空間で写真体験をできるよう
具体的に起こしていく作業をしていきたいと思います。


よろしくお願いいたします。


河西春奈



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TOKYO PHOTO 2011に向けて



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河西さん

激しい季節、夏もそろそろエンディングに向かっていることが感じられます。
さて、3回目の開催となったTOKYO PHOTO 2011にあたり、
GALLERY 21の選んだPromising Artist of Year 2011として、
河西さんに参加していただこうと思います。
これから一年間、何卒宜しくお願いします!

アーティストとギャラリストの日々の切磋琢磨があってこそ、
アート作品の社会的な立ち位置が見えてくるのだと私は考えています。
”ただ、そこにある”では、日々激動する社会においてそれは存在しないのと同義です。

ここにあることを、見えるものとし、
しっかり声にして語ることが重要であると思っています。

6月、ノルウェーでのアーティストレジデンスと
ワークショップを主宰されることになった貴女に
アーティストボックスの製作を提案したのは、
アーティストが自身の制作への思考を伝えるシーンでは、
その理論を伝える装置があることで、参加者とアーティストの間に確かなコードが
生まれてくると考えたからです。

アートとは、孤立した作品ではなく、
貴女が深く関心を寄せる“映画”のように、
監督、出演者、オーディエンスの緊密な関係性のありようを指すのかもしれません。

私は写真の力を“写真体験”という信じられるコトにして
オーディエンスに届けたいと願って来ました。
これからの時代は、その“写真体験そのもの”を評価するようになると感じています。

今日から始まる具体的な準備、忌憚のない意見交換をしながら進んでゆきましょう。
宜しくお願いします!

太田菜穂子



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